つりびとの雨籠

水辺にいられないときのんびりと書きます

【18きっぷ旅】雪景色の琵琶湖




 

2022年お正月明け、真冬の琵琶湖を電車で旅してきたのですこしだけ書きます。

 

 

 

 

1月8日朝、まだ暗いうちに電車に乗り込む。持ち物はたも網とウェーダー。それとカメラ。

 

 

 

今回の目的は北湖リベンジ。

 

昨年末、といっても二週間ほど前、友達と5人で冬の北湖を満喫するはずだったのだが、見事数年に一度の大寒波に直撃。北湖は雪に閉ざされた。

 

どころか琵琶湖線彦根の大雪で運転を見合わせる始末。だらだら亀山から電車を乗り継いでいって京都旅行を楽しみました

 

しかし、完全に雪の北湖に行く気になっていた私、未練たらたらで一人で電車に乗ることにしました。

 

 

 

さて、知り合いと会いませんように、とどきどきしながら地下鉄で名古屋へ。服は機能全振り、髪はぼさぼさで網を担いでいる姿は向こうも見たくないはずです。

JRに乗ると一転、旅が始まる高揚感がこみ上げてきます。

 

 

景色が見えるというのも大きいでしょうね。知らない土地の景色は、特別でなくても心を揺さぶられるものがあります。

 

 

 

木曽川流域に広がる大平野

 

 

 

ごちゃごちゃして古臭い岐阜駅周辺(岐阜在住の方申し訳ありません褒めてます)

 

 

 

山の見える街

 

 

 

それぞれの場所に住む人の生活への想像に耽ります。

 

 

関ケ原抜けた写真)

うとうとしていた。気が付くと一面の雪景色。

 

 

雪景色を見たくて電車を降りる。その後で降りた駅が醒ヶ井だと気が付く。

梅花藻で有名なところ、そして養鱒場のイメージがあります。

 

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まだ朝の静かな町にお邪魔します

 

 

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生活に密着した水路

 

 

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冬らしく南天と一枚。
梅雨時期になると水路沿いは人でいっぱいになるそう。

 

 

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徐々に町が動き出してくる。雑談ついでにお店に入らせてもらう。

 

 

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次の電車が来る頃、町は活気立っていました。朝日で雪が解け、キラキラと光る駅前のロータリー。

交通量も増し、さあ一日が始まるぞ、という力強さを感じます。

 

 

 

 

もう少しゆっくり散策したかったですが、電車の時間に急かされました。

 

しかし、ここまで!と仕切ってくれるのも電車旅のいいところな気がします。

電車に乗っているだけである気楽さと、駅の周辺だけ、次の電車が来るまでという制限の絶妙なバランスにはまりそうです。

 

さて、予定外の場所で時間を使い過ぎました。目的地は北湖湖西のどこか。

 

その途中でいくつか駅を降りてぶらぶら歩いてみたり、川で網を入れてみたりしてみます。

 

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トウヨシノボリ。歌舞伎役者のような顔つき

相変わらずのいかつい顔。この川ではこの一匹しか取れませんでした。

 

 

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ウツセミカジカ。美人である、という印象。

 

 

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家と家の隙間を当たり前のように水路が流れる。

 

 

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ずっと琵琶湖まで。

 

 

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昼の月とノスリ

 

 

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ちょっと面白く

 

 

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駅名標っていいよね

 

 

さて、ぐるっと西側まで、近江中庄を今回の目的地としました。

 

 

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平地と山

 

 

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何かがいたらしい。

 

 

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目を引く外観。カフェです。

素敵なカフェで、お昼を食べさせていただきました。ご夫婦でお店をやっています。

落ち着いた雰囲気で、おばあちゃんちにお邪魔しているような温かさ、懐かしさを感じます。

 

 

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今日初めての琵琶湖と対面

 

 

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静かな湖面

波が出がちな午後ですが今日は非常に静かでした。

 

 

夕暮れを待ちます。

 

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夕日と雪をたくさん撮ることが出来て満足です。

 

 

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帰り際、駅前で一枚。

 

 

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旅のおわり

 

 

帰りの電車の中、一つだけ心残りがありました。

湖面と夕焼けが見たい。

 

湖西では、夕日は山に沈んでいきました。せっかく琵琶湖に来たのだから、湖面の上に広がる夕焼けが見たいものです。

 

 

 

電車から一瞬見えた空を求めて、急いで駅を降ります。

浜に走る。足元はもう暗い。

 

 

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夕焼けはゆっくりでした。静かな湖東の水面と、その遠くに見える山際の赤。

今日の旅を受け止めてくれる気がしました。

 

 

てぷてぷと誘うように波。

 

肩に絡まる荷物をすべて浜に下ろして座り込みます。

 

 

 

この景色は、一人旅じゃなければ見られなかっただろうと思う。

自分の感情の身に任せて、走ったり走らなかったりする。

 

 

実はこの日の朝、一人旅は寂しいだろうと不安になっていました。

年末、年始と仲の良い友達とたくさん遊び、それに慣れてしまったと感じていたからです。

 

実際の一人旅はとても楽しいものでした。

ただ、そう思うと同時に、今、この気持ちを一緒に感じてくれる人が隣にいてくれたらなあ、とも思います。贅沢ですね。

 

そんな風にぐるぐる考えながら、山は空に紛れていきます。

 

 

かすかに、破裂音がしたような気がした。

探すと、はるか向こう岸に小さな花火が見えた。

 

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遠くに花火

 

自分の運のよさに驚きます。ほんとにたまたま。

 

いい感じで今回の旅が締まりました。

とても清々しい気持ちで、帰りの電車に乗りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恵みの雨




こんばんは。11月22日月曜日、久しぶりの雨が降っています。
一日中降る雨はいつぶりでしょうか。   
琵琶湖では、渇水が大きく話題になっていました。実際、私が先週と先々週に琵琶湖を訪れた時も、渇水の模様が見られました。



特に姉川水系の河川では水不足が深刻で、この時期には珍しく大規模な瀬切れが発生していました。   
今の時期、10月中旬から11月下旬にかけては、琵琶湖にはビックイベントがあります。 ビワマスの遡上ですね。   
ビワマスは晩秋、水温が低下し水位が上昇する雨後に流入河川を一斉に遡上して産卵します。   
ゆえにこの時期の瀬切れは深刻です。ビワマスたちは、水のある河川を探してなんとか遡上しなければいけません。

ところでビワマスに他のサケ科の魚類と同じような母川回帰性はあるのでしょうか。
あるとしたら姉川で生まれたマスたちはこの状況でどこへ行くのでしょうか。

姉川渇水は、河口を見ただけでも産卵が行える状態でないことがわかるほどです。
そんな状態の琵琶湖でしたが、水のある河川にはビワマスが多く遡上していました。



姉川の近くには、田川という川があります。   
姉川水系の主要な河川は高時川姉川が有名で、どちらも伊吹山地に源流に持つため、豊富な土砂供給があります。  
伊吹山地に多く分布する花崗岩が風化して真砂土となり、川を天井川化させていきます。姉川は総延長のうち8.1kmが、高時川は6.2kmが天井川となっています。

田川は昔、高時川姉川に合流していましたが、この二川とは対照的に田川は源流に大きな山地を持たず、
土砂の供給は少ないです。この三川の流域に大雨が降ると、面白い現象が起こります。

雨が降れば三川とも増水するわけですが、そこで河床の高低の差が姉川高時川の水を田川に逆流させます。いわゆる支川背水ですね 。この支川背水が大規模に起こり、田川の合流部付近で越水が起こってしまうというわけです。
これを解決しようと、田川は高時川姉川に合流させずそのまま琵琶湖に注がせることになりました。

そしてできたのが田川カルバートです。カルバート、すなわち暗渠とは地面の下を流れる川や水路のことを指しあらゆるところでみられますが、このカルバートは河川の下を通ります。こうして高時川と田川は立体交差することになります。

川が立体交差する場所というのはそう多くありませんが、私の住む名古屋には、庄内川から取水した堀川が矢田川の下をくぐる伏せ越しがあります。
田川は高時川をくぐった後、人工的に掘られた放水路を流れて、琵琶湖までたどり着きます。



さて、私が先週ビワマスの産卵を観察したのはこの田川です。前述したとおり源流に大きな山地を持たず、住宅地の中を静かに流れていく河川ですが、多くのビワマスが産卵のために遡上をしていました。
河川の見た目は名古屋に流れる香流川天白川などとそれほど変わりません。水質も特別良いわけではなく、本当に普通の河川でした。

二時間ほどの観察で見られたビワマスはおよそ50尾。全身をくねらせ尾びれで産卵床を掘る雌、互いの体にかみつきながら争う雄、さあいつ生むかというペア、ほぼ全身真っ白にカビが生え力尽きた個体。だれも自分の身のことなど案じていません。まさにすべてをかけて、産卵に臨んでいるわけです。人生で一回きりの、一瞬の大勝負。住宅街を流れる普通の河川がその舞台でした。

20年近く名古屋に住んできた私にとって、その光景は一日中でも見ていられるような衝撃的なものでした。しかし、それを見物している人は誰一人としていませんでした。琵琶湖湖岸の人々にとっては、当たり前の光景なのでしょう。また逆に、ビワマスにとってもこの田川という川に遡上してきてこのように産卵することは当たり前なのかもしれません。



田川は、高時川をくぐるという大工事を経験してきました.

それだけでなく、はるか昔人々が住み始め、水田ができ、町がつくられ、住宅街になっていく、そんな環境の変化をじっと見てきたはずです。

そして田川で産卵するビワマスたちも、そういう変化の中で途方もない時間、同じように遺伝子を伝え続けてきたのでしょう。



当たり前が、当たり前のままであり得るように。

そんなことを思いながらつりびとの夜は更けていきます。



ところで、ビワマスは全長50cm~70㎝と大きく、また鮭の仲間は身近であるため、
このような擬人的な思案を呼び起こしやすいのでしょう。

このような象徴的な生き物に隠れて、姿を消していくものたちもいます。



当たり前が当たり前のままであり得る、それほど簡単なことではないような気がします。



 

 

さあ、今日は雨です。琵琶湖の水位も上がり、生き物たちも一安心といったところでしょうか。

この雨で季節は進みます。冬が始まりますね。